食温正表(食べ物と温泉の正しい表示を推進する会)
食温正表(食べ物と温泉の正しい表示を推進する会)は、商品や温泉の表示と実際の内容を照合し、正しい表示を推進する活動を行っています。
今回は、名称と産地・材質の関係を調べた、2021年の「那智黒石と那智石」の記事を紹介します。
那智黒石
「那智黒石」は、熊野那智黒石協同組合の地域団体商標です。指定商品は、三重県熊野市神川町で採石される黒色珪質頁岩の原石と、その原石を加工した石材。これに該当しない石材を「那智黒石」という商品名で販売する場合には、商標権侵害が問題になります。





那智石
一方、「那智石」は従来から使われてきた石材の呼称です。


過去記事では、購入した岡室碁石株式会社への問い合わせをもとに、七里御浜に流れ着いた黒っぽい石の総称として紹介しました。


「那智石」という名称の使用だけで、直ちに商標権侵害となるわけではありません。ただし、別の産地・材質の商品に使用し、七里御浜産の石や那智黒石と同等の品質であるかのような印象を与える場合には、表示全体と商品の実態によって、優良誤認表示に該当する可能性があります。
記事では、原石・碁石・硯などの加工品、七里御浜の石、店頭で販売されていた輸入商品の表示を写真で比較しています。登録商標の使用に関する問題と、名称から商品の産地・品質を誤認させる問題を分けて確認した事例です。

那智黒石(なちぐろいし)は地域団体商標登録されている三重県熊野市神川町で採掘された黒色珪質頁岩。熊野市七里御浜産の「那智石」「白那智石」との区別について解説(食彩品館.jp2021/01/01記事より)
この記事は2021年当時の情報を元に記録しています。新事実があったり、過去情報が間違っていることもあります。ご自身による再調査を強く推奨します。
地域団体商標制度登録の那智黒石
知っている人は知っているが、「那智黒石」と「那智石」は違います。
きちんと定義が決まっているのは「那智黒石」で、経済産業省 特許庁にて「商標登録第6225396号 那智黒石(なちぐろいし)」と紹介されている。
▫権利者
熊野那智黒石協同組合(三重県熊野市木本町171)
▫指定商品又は指定役務
過去に三重県熊野市より和歌山県那智地方に流れ着き、熊野詣の証として拾われたこと及び和歌山県那智地方における熊野詣の土産として販売されたことに由来する三重県熊野市神川町で採石される黒色珪質頁岩の原石及びその原石を加工して生産された石材。



◆三重県熊野市神川町で採取されたものが登録商標の「那智黒石」





すなわち熊野市神川町産の那智黒石が正式名称として使用可能。それ以外は那智黒石として表示することはできません。
登録からまだ日が浅いこともあり、ホームセンターでも三重県熊野市神川町ではない産地の庭石に対して「那智黒石」と表示されて販売しているのを見かけます。
↓ 事例(2020年11月~12月私的調査)。【追記】2026年現在は見かけなくなりました。


那智黒石は採取された岩石そのものと、その石を加工成形した商品に命名されている。
例えば、原石そのものから加工する硯であったり、碁石であったり。




熊野から那智勝浦周辺で見かけることのある八咫烏や鯨の置物も那智黒石の粉末成型加工品。

きちんとした成形加工商品には「特許第862620号」というシールが貼られていて、その製品は那智黒石粉末とエポラック樹脂を混合して作られている。中には樹脂だけだっりするものもあるらしく、加工成形品購入時は特許シールの確認をすることをお勧めする。


那智石とは
それでは庭石として使われる那智石との違いはなんなのかというと、一つは産地であり、もう一つはあまり知られていないが材質のことも。
「那智石」は三重県熊野市の七里御浜で「拾い子」と呼ばれる方々が流れ着いた黒っぽい石を採取したものを言う。ただし、三重県HPによると一般には七里御浜採取の「那智石」は「那智黒石」とも称されてきた経緯が紹介されている。
すなわち、登録商標の「那智黒石」が熊野市神川産の黒色珪質頁岩に限定していることに対して、那智石は熊野市七里御浜に流れ着いた「黒っぽい石」の総称であることを岡室碁石株式会社様より情報提供していただいた。
同社の製品「白那智石」と「那智石」を20年ほど前に道の駅で購入して以来、ずっと気になっていたので、今回、あらたに那智石を購入するにあたって同社へ問い合わせて初めて、産地における“那智黒石”と“那智石”の違いを知るに至った。

那智石
北山川(三重・奈良・和歌山県境)から流れた石は、奈良県十津川と合流し熊野川となる。
そして熊野川・新宮川を経由して太平洋に至る過程で那智黒石は丸くなり、そして美しい濃い灰色の石となる。
古来より那智石は熊野三山の一つである那智山を参拝した石と言われるが、那智石は実際のところ、海流の影響で那智へはたどり着けないことが多い(ほぼたどり着けない)。
同じく熊野三山である速玉神社(新宮市)の横を新宮川(熊野川)が流れているため、速玉神社は参拝していると思う。
はるぱる流された大多数の石は新宮川河口から北上し、七里御浜にたどり着く。
七里御浜で許可された「拾い子」さんが集めた小石は「御浜石(みはまいし・おはまいし)」で、その中に「那智石」「白那智石」がある。
↓ 拾い子さん(資料画像)、七里御浜の石(画像撮影後は元の位置に戻した)、頁岩の見本(那智黒石)





この那智石が水に濡れると黒くなり、その色は石毎に微妙に異なる。
美しい。
↓ 購入した那智石(熊野市七里御浜産)と水に濡らした那智石

我が家の庭には「那智石」が80kg程、「白那智石」は20kg程、敷いてある。
白那智石は皇居中庭に敷き詰められたものと同じ。
勤労奉仕で皇居中庭に入った方々の話によると「貴重なので絶対に持ち帰らないように」と注意されるほど貴重な石が我が家にあることの不思議。



↓ 写真撮影のため仮置きした画像です(実際にはこのようになっていません)

このことを2021年の年頭記事として記録しておきたい。
白那智石
「白那智石」は皇居中庭に敷かれている。それを施工業者や関連サイトでは「和歌山産」と紹介されている。実際の産地は三重県です。


実際は三重県熊野市の七里御浜で拾い子さんにより採取された白っぽい石のこと。
皇居で4,800㎡(1,452坪)に敷き詰められた白那智石は約860トン。庭石は岡室社(三重県熊野市)より納品されていることから、和歌山県産ではなく、三重県産と推定。
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